ふるさと塾:第11回講座
「ふるさと塾」第11回講座が2024年12月4日(水)に開催されました。テーマは「川越市域の古墳と7世紀の画期」で、講師は川越市立博物館学芸員の藤田健一さんです。藤田講師は平成23年に考古学の学芸員として川越市に採用され、文化財保護課で埋蔵文化財の調査・史跡整備を担当し山王塚古墳の発掘調査と史跡指定に尽力されました。令和6年からは市立博物館学芸担当としてご活躍されています。
午前中は、市立中央図書館視聴覚ホールでの座学です。初めに川越市域が立地する川越台地の地形の特徴を行政界や道路・鉄道などを除いた地図で観察してみると、台地上は平らではなく開析谷といわれる無数の谷が入り込み、台地の先端部には湧水点が散在する事が確認できました。そして古墳時代前後の川越市域周辺には山王塚古墳や、午後から現地学習で訪れる仙波古墳群など数多くの古墳の存在が明らかになりました。7世紀になると上円下方墳といわれる山王塚古墳の様な特異な古墳が出現し、東山道武蔵道の開削や入間郡家の設置など政治的拠点が置かれるなど大きな画期を迎え、その後には河越氏が入間郡の政治的中心地に居を構え、川越市域が交通の要衝となり物資の集積といった役割を担うなど大きく展開していくことになり、今日の川越に繋がっていることが理解出来ました。
午後の現地学習は喜多院に集合し、多宝塔古墳・慈眼堂古墳の話からスタートしました。仙芳真人入定塚から三変稲荷神社古墳へ歩き、台地上の三変稲荷神社古墳から開析谷を下り、龍池弁財天の下にある湧水池へ。この池は川越台地の段丘崖にあり地形的に湧水が出やすく、市内としては豊富な水量があるとのことでした。次の長徳寺は天台宗の寺院で、川越台地の東端の高台に位置し居館の立地条件としては好立地であり、周辺の小字名からも仙波氏居館の存在を窺える条件が揃うことから仙波氏館跡に比定される地です。ここで小休止して、次の開析谷を通り抜け仙波氷川神社に向かいます。境内の塚が古墳か否か疑問が呈されていますが、仙波氷川神社古墳とされているとのことでした。次の仙波河岸史跡公園では川越台地の崖線からの湧水が「仙波の滝」となっていましたが、今は水源が切り換えられ水は出ていないものの昔の姿に再現されている「仙波の滝」を見ました。急な崖を上ると愛宕神社古墳で、次に訪れる浅間神社古墳と共に大型の円墳で父塚、母塚と並び称されていますが、いずれが父塚か母塚なのか今では特定できないそうです。浅間神社古墳で現地学習を終了しました。
振り返りでは、川越台地の地形の特徴や川越にこれほど多くの古墳があること、そして古墳時代以降の集落や交通路の展開などの様子を知る事が出来て参考になったこと、長距離の歩行だったが天候にも恵まれ良い運動と良い学習が出.来た、などの声があり概ね好評の様でした。